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給料や評価、人事マネジメントに関する話題を中心に、日頃のコンサルティング業務や出来事、ニュースなどの中から感じたことの中から、ちょっと役立つ情報を提供していきます。
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賃金管理研究所 大槻幸雄

Author:賃金管理研究所 大槻幸雄
    
 株式会社賃金管理研究所所長の大槻です。賃金人事コンサルタントとして日々の仕事を通じて感じたことを書いています。
 業務に関するお問い合わせは、賃金管理研究所(03-3953-6761)までお願いいたします。
 
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 皆さんは「人事評価」という言葉と「人事考課」という言葉どちらを使いますか?

 社員に対する評価はすべて「人事考課」と呼ぶものだとお考えの方も結構いらっしゃるのではないかと思います。しかし、人事考課という語句は、主にその人の能力や適性を判断することを指すもので、必ずしも仕事ぶりの良し悪しや質の高さを判断するものではないのです。

 人事考課という言葉がいつから広く使われるようになったのかは分かりませんが、Human Assessment の日本語訳として使われるようになったものと思われます。 Assessmentというと、環境アセスメントという言葉がありますね。公共事業や箱モノづくりなどの大規模事業を行うに当たり、事前に環境への影響を多角的に調査することを指します。Assessment の代表格である不動産鑑定では、その土地や建物の状態、環境などの要因を分析し、価格を査定することを意味しています。

 人事考課(Human Assessment)もその人材の価値を客観的に査定することを指すと考えて良いでしょう。能力や適性、保持している知識やスキルなど、その人材の今の状況を客観的にあぶり出す作業といっても良いかもしれません。

 人材育成や能力開発のためにはこのような人事考課も必要となりますが、人が仕事をするのが職場であり、会社だとすれば、その仕事ぶりの良し悪しを判断する評価がまず何より大切なのは言うまでもありません。

 私たち賃金管理研究所では、半年ごとのの従業員の仕事成績を確認する評価のことを「成績評価」と呼んでいます。

 「成績評価」と「人事考課」 ― どちらも同じことではないかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、評価対象を「仕事」の成績に置くか、その「人」の能力・適性に重きを置いて見るのかで、評価の内容は大きく違ってきます。

 “給料を決める仕組みを作る”のは大変むつかしいことに思えますが、人(従業員)が職場において仕事をする、その労働の対価として賃金が発生するのですから、賃金を決める要素は、大きく分けて「人」と「仕事」の2つしかありません。

 要はどちらに軸足を置いて考えるかということですが、仕事の生産性に見合った賃金処遇でなければデフレ経済、低成長の時代の賃金管理が出来ません。だとすれば、仕事に軸足を置いて考えなければならないのは当然ことです。
 そして合理的な賃金制度の運用を支えるのが、仕事に軸足を置いた評価制度なのです。「能力が向上しているから、それに合わせて賃金を上げる」のではなく「職責が重く、高い生産性を上げているから、その生産性に相応しい賃金を支払う」ということです。
 
 間違えないでいただきたいのは、能力や適性に対する評価(人事考課)が全く要らないと言っている訳ではないのです。採用時や能力開発のために人事考課の手法が有用なことも、もちろんあります。
ただ、人事評価においては、まず仕事の質の高さに着目する「成績評価」から始めなければいけないということなのです。



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 弊社所長:弥富拓海のブログもぜひご覧ください。 ⇒ 弥富拓海の「賃金正しい決め方と運用の実務」
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2012/10/17 14:32 評価制度 TB(0) CM(0)
 前回のブログで「数値だけの管理は評価とは呼べない」、「数値で評価するという建前のもと、評価すること=評価者の責任において価値判断を下すことから逃げてはいけない」と、やや厳しめのお話をしました。

 上位等級ほど「結果が出なければ評価に値しない」などといわれ、最上位等級の部長にいたっては「利益が全てだ」などといわれることもあります。
 確かに経営ということを考えた場合、利益を確保しなければ経営責任を果たしたといえないということはあるでしょう。でもそうであるなら誰よりも代表取締役が厳しい責任追及を受けなければいけないはずです。
 
 数値指標一本やりの評価が問題なのは、「結果よければ全てよし」でマネジメントの質を突き詰めて考えなくなることに問題があるのです。上位等級ほど、戦略が正しかったのかどうか、どこがうまくいったのか、どこがまずかったのかを精査し、ノウハウとして蓄積していかなくてはなりません。
 
 戦術が当初の予定通りうまく運ばなかったとしても、運良く目標達成できることもあります。また目標達成ができなかった場合でも、「営業努力が明らかに足りなかった」、「顧客ニーズを読み違えた」、「競合商品の動向を見誤った」、など実に様々な要因があるはずです。

 これを精査することで、同じ過ちを繰り返さないように一歩前に進むことができるという面も評価にはあります。数値一本の評価では、このように貴重な経験を次の営業活動に生かすことを阻む恐れもあります。

 また、小売業などでは事業部長やエリア長が業績目標の達成のみを求められると、部下である店長にもそれに応じた業績ノルマを課し、戦略よりもお尻を叩いて叱咤激励し、ノルマ達成を目指すというようなことが見受けられます。
 上級管理職であるほど経営方針・事業計画に沿った具体的な戦略が求められるはずですが、店長の数値管理に終始し、自ら立案した戦略に基づいて店長を指導・支援し、成功(目標達成)に導くというもっとも重要な責任を放棄してしまうような状況です。

 テレビドラマでは、嫌味な上司の典型としてこのような自ら責任を負おうとしない管理職が登場することがありますが、実際には本人に悪意がある訳ではなく、性格もごく普通の真面目な管理職が、無意識のうちにマネジメント責任を感じないまま数字追求だけに走ってしまうことも多く、そこに一種の〝怖さ”を感じます。
 
 評価される側、とくに評価されることを期待している優秀な社員からすると、成果を認めてはくれるけれども、例えば「提案営業でのプレゼンに新しい工夫を加えた」とか「全く新しい販路を自分だけの努力で開拓した」とか、本当に努力した部分を上司に認めてもらえていないということになります。

 このような状態は、決して社員のモチベーションを高めていくことには繋がりません。だって、本当に認めてほしい、褒めてもらいたいところを見てやっていないのですから・・・。

 数値目標ばかりを重視する弊害は、実はまだあります。

 それは従来のやり方(従前どおりのビジネスモデル)から抜け出せないということです。数字の積み上げ、進捗管理だけがクローズアップされるので、そこにばかり意識が集中して、新しいことに挑戦するという気風が抑えられるということもあるのです。
(次回へ)


     ****  ****  ****  ****  ****
 
 9月に「経営者のための賃金実務セミナー」として1日集中セミナーを、東京・名古屋・大阪で順次開催いたします。タイトルは、
 やる気を引き出し生産性をアップする 『給与制度づくり-普遍の法則』」
です。

 今年は賃金制度を改善し再整備していくうえで、外してはいけないポイントを集中的にお話しする予定です。賃金制度づくりのポイントをしっかり押さえていただくことが重要なのはもちろんですが、その前に「わが社の問題がどこにあるのか」「社員のモチベーションが上がらない原因は?」と根本原因に気付くことも何より大切なことです。

 50年を超える賃金管理研究所の指導実績から得たノウハウを、皆様の会社の賃金・評価制度改革にお役立ていただけます。賃金制度づくり(改善・整備)をご検討されている会社は是非この機会にご参加ください。


【日時および会場】
 ◆東 京 開催  9月20日(木) アルカディア市ヶ谷
 ◆大 阪 開催  9月25日(火) 新梅田研修センター
 ◆名古屋 開催  9月26日(水) ウインクあいち
  時間はいずれも、10:00 ~ 16:30となります。
  *各会場とも定員30名

【講師】
 ◆賃金管理研究所 取締役  大槻幸雄
 
【参加費】
 33,600円(テキスト・資料・食事代を含みます)
 
【パンフレット&お申込み方法】
 お申し込みはセミナーパンフレットのお申込欄に必要事項をご記入の上、FAXにてお申し込みください。
 パンフレットは弊社HP〔トップページ: http://www.chingin.jp 〕よりダウンロードいただけます。



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2012/08/29 11:47 評価制度 TB(0) CM(0)
「評価はなぜ必要なのか」

 この命題は、一見簡単そうでいて、いざ考えてみると様々な答えが出てきそうなテーマです。

 ある辞書で「評価」と引くと、「①物の価値や価格を(論じて)決めること。②〔教育で〕児童・生徒の学習効果について判定すること。」とありました。

 物の価値や価格を判定するとき、そこには評価する人の価値観が反映されますから、評価に主観が入るのは当たり前のことだといって良いかもしれません。

 今ここに真っ白なコーヒーカップがあり、熱いコーヒーが注がれているとしましょう。「コーヒーカップが白い」これは客観的に誰が見てもそうなので、評価とは言えないかもしれません。

 「このコーヒーカップが熱い」もしくは「このコーヒーが熱い」・・・これはどうでしょうか?
 実際にカップを手に取り、コーヒーを口にしてみても、「熱い」というのはその人の判断で、人によっては感じ方が違うかもしれません。論理学では主観的事実というようですが、ここには評価があります。

 「人事評価においても、評価とは主観が入るものだから、客観評価などそもそもないのだ!」といえるのではないでしょうか? 以前、成果主義が叫ばれる中、業績数値による客観評価が求められ、数値管理を徹底された会社が多数ありました。「利益が上がればそのことを評価する」ということでしょう。

 でも、考えてみれば評価者本人の判断がなくても、もっと言えば人がいなくてもコンピュータで判断できる数値管理は、そもそも評価といえるのでしょうか? 
 仕事の品質、出来栄えを判断していないのであれば、私は、数値だけの管理を評価とは呼べないと考えています。

「営業職は数値で結果が出るから評価しやすい。」とよく言われます。これも、一面では正しいものの、数値が評価がすべてと考えるなら、それは基本的には間違っています。それだけでは、その社員の努力や工夫も含めた、仕事の品質について、考慮しないことになるからです。

 ここには「評価者による評価の放棄」という怖い問題が見え隠れします。
 つまり、「数値で評価する」建前のもと、評価すること=評価者の責任において価値判断を下すことから逃げているということです。

 人事評価は、会社=使用者が従業員に対して行なうもの。評価者はその権限を会社から委譲された管理職です。会社の資産、ヒト・モノ・カネのうちのヒトの資産価値を判定し(評価)、その価値を高めていくために(育成)、評価を責任もって行なうことは、いつの時代も重要なことであり、管理職が担うべきおおきな責務です。

 成果主義の名の下に、経営者が、そして管理職が評価の本質から目をそむけ、「コーヒーカップが白い」と見たままのことしか言わないことが、客観評価として正当化されてはいけないのです。

 かつて職能資格制度のもとで、評価者は、自己判断から逃れようと評価に客観基準を求めました。そこで客観的な結果が導き出せる代用基準として「年齢・勤続・学歴」が用いられ、年功序列をいっそう助長させました。いきすぎた成果主義の失敗は、これと同じ評価の放棄にあると私は考えています。


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 9月に「経営者のための賃金実務セミナー」として1日集中セミナーを、東京・名古屋・大阪で順次開催いたします。タイトルは、
 やる気を引き出し生産性をアップする 『給与制度づくり-普遍の法則』」
です。

 今年は賃金制度を改善し再整備していくうえで、外してはいけないポイントを集中的にお話しする予定です。賃金制度づくりのポイントをしっかり押さえていただくことが重要なのはもちろんですが、その前に「わが社の問題がどこにあるのか」「社員のモチベーションが上がらない原因は?」と根本原因に気付くことも何より大切なことです。

 50年を超える賃金管理研究所の指導実績から得たノウハウを、皆様の会社の賃金・評価制度改革にお役立ていただけます。賃金制度づくり(改善・整備)をご検討されている会社は是非この機会にご参加ください。


【日時および会場】
 ◆東 京 開催  9月20日(木) アルカディア市ヶ谷
 ◆大 阪 開催  9月25日(火) 新梅田研修センター
 ◆名古屋 開催  9月26日(水) ウインクあいち
  時間はいずれも、10:00 ~ 16:30となります。
  *各会場とも定員30名

【講師】
 ◆賃金管理研究所 取締役  大槻幸雄
 
【参加費】
 33,600円(テキスト・資料・食事代を含みます)
 
【パンフレット&お申込み方法】
 お申し込みはセミナーパンフレットのお申込欄に必要事項をご記入の上、FAXにてお申し込みください。
 パンフレットは弊社HP〔トップページ: http://www.chingin.jp 〕よりダウンロードいただけます。



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2012/08/24 14:49 評価制度 TB(0) CM(0)
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