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給与制度
業績悪化時の総額人権費の削減を考える
この度のコロナ禍を主因とする景気の悪化は長期化する可能性が高く、小売業・飲食業や旅行・宿泊サービス業などへのダメージが大きいことが報道されています。飲食業でも最高益を上げる会社が一部にあるように不況の影響度合いは同じではありませんが、これまでの景気状況と今後の見通しから考えれば、未曽有の危機的状況にあると考えられます。 先月のコラムでは、安易な賃上げ抑制を行うことのリスクやデメリットについてお話しましたが、いよいよ業績が悪化しているときには、いかに人件費抑制をも含めた事業の再構築を行うかが大きなテーマとなってきます。わが国では、社員を容易に解雇することはできませんし、賃金引き下げなどの不利益変更も厳しく規制されていますから、人件費の抑制も計画的かつ慎重に検討されなければなりません。 人件費抑制の対象として、まず業績に連動して決まる賞与があげられます。月例賃金については、所定内賃金を直ちに減らすことはできませんが、割増賃金を必要とする時間外勤務や休日勤務は減らせますし、固定時間外勤務手当(みなし残業手当)がある会社では、これを廃止するか又は適正な水準まで引き下げることも必要です(但し法定手続きに沿って変更すること)。管理職の時間外労働に対する補償的意味合いを有する管理職手当も、残業実態に合わせて減額の検討対象となります。 問題は、ここからです。 いよいよ事業の存続が危ぶまれるような段階に至れば、①雇用を守るために平均支給額を引き下げるか(ベースダウンなど)、②従業員を減らすか、いずれかを検討しなければなりません。 ベースダウンとは、賃金表の水準(賃金ベース)を引き下げることを指しますが、昇給の停止や凍結も含めて検討されることが一般的です。しかし、その効果はごく限定的であり、僅か2%前後の人件費を抑制するために優秀社員の流出というリスクを負うことになるのを忘れてはなりません。労働人口が急速に減少する時代には、優秀社員を辞めさせないことが生産性の維持向上には重要ですから、原則的にはベースダウンの手法は取り得ないと考えるべきでしょう。 となれば、後者の従業員を減らして人件費を抑制するしかありません。自然退職の不補充というやり方が最もソフトなやり方ですが時間はかかります。そこで容易には整理解雇ができないわが国では、まだ余裕があるうちに希望退職を募ることが大手企業を中心に行われるのです。これは少ない人数で従前以上の生産性を上げるための取り組みと捉えることができます。 仕事量が減った時には、「緊急避難的に仕事を皆でシェアする」という考え方もあります。ITバブル後の不況期に政府主導でワークシェアリングの考え方が広がり、リーマンショック時には雇用維持のためにも一人当たりの仕事量を減らし、多人数でシェアする取り組みが製造業を中心に検討されました。しかし、緊急避難的に「雇用を守る」という大義は達成できても、個と会社を強くし業績の回復に繋げる効果は期待できるはずもなく、一時的な応急措置で終わりました。 「コロナと共に生きる」という前提に立てば、新しい日常に合致したビジネスモデルへと再構築していかない限り、将来展望は望めません。勝ち残るためには、次の事業展開を描きつつ、社員と会社組織の基礎体力を高めていく取り組みを積み重ねていくことが肝要です。これは、賃金政策においても同じです。 ![]() 〔おしらせ〕中小企業経営者向け給与制度セミナー(動画配信型)を開催! 社員を大切にする会社が進んで採用する給与決定のしくみ 『3時間でわかる! 責任等級制賃金制度の勘所』 責任等級制賃金制度は、賃金管理研究所の創業者である弥富賢之が考案した「弥富式」賃金制度を基礎として構築され、全国の中小・中堅企業の成長を支えながら、それぞれの時代と共に日本の企業に合わせて進化し、今日に至っています。 10年、20年、30年…、と長い年月にわたってこの賃金制度と共に発展・成長を重ねてきた数多くの企業の存在が、責任等級制賃金制度の有用性を証明しています。たとえ将来が見通しにくい状況下でも、社員が安心して仕事に打ち込めるわかりやすい賃金制度を示さなければいけません。そして総額人件費を合理的にコントロールしつつも、質の高い仕事で成果をあげた社員に正しく報いる制度の運用なくして、企業の発展は望めないのです。 本セミナーでは、責任等級制賃金制度の全体像を理解していただけるよう、要点を絞ってお話します。どんなに経営環境が大きく変ろうとも、社員の給料を合理的に決定する仕組みの大切さは変わりません。ぜひ皆様の今後の経営管理にお役立てください。 ≪ 主なセミナーカリキュラム ≫ 1.〔現状分析〕 自社の給与制度の課題はどこにあるのか? ■今日の労働市場の変化を理解する ■オーナー経営者が陥りやすい間違い ■わが社の問題を洗い出す(問題の真因を探る)■社員のやる気の総和を最大化するために 2.〔責任等級制度〕 人事処遇は担当職務・役割・職責を基準に決める ■賃金決定の基本は担当職務ベースで ■等級区分の基準は「能力」から「役割責任」へ ■仕事と賃金のミスマッチを引き起こさないために 3.〔基本給〕 所定内労働に対する“基本となる賃金” ■基本給はシンプルこそが“基本” ■年功の弊害は排除し、年功の良さは活かす ■昇給、賞与、退職金と基本給の関係は? 4.〔定期昇給〕 定期“実力”昇給を正しく実施する ■仕事力の差を賃上げにどう反映するのがよいか ■昇給と社員のモチベーションの関係 ■等級格付、昇給評語と昇給額コントロールの仕組み 5.〔手当の基本〕 “必要なものに、適正な水準設定を”が基本原則 ■シンプルな手当体系 ~必要な手当、不要な手当 ■複雑な各種手当の整理の仕方 6.〔評価制度と賃金〕 納得性のある“人を育てる”評価の秘訣とは? ■仕事の“品質”を評価するにはどうするか? ■評価の基本=人事考課と成績評価の違い ■仕事力評価のための5つのポイント 【開催形式】 動画配信方式 (180分) ◆配信期間: 2020年 10月7日(水)10:00 ~ 11日(日) 23:59 【講師】 ◆賃金管理研究所 代表取締役所長 大槻幸雄 【参加費】 ◆動画配信 16,500円 ◆セミナー収録DVD販売 16,500円 ◆動画配信・DVDセット セット価格 27,500円 (すべて税込価格:テキスト代を含みます。) ※ご請求書を郵送いたします。受講料は銀行振込にてお支払いをお願いいたします。 ご入金確認後、動画配信サイトURLやパスワードをいただいたメールアドレス宛てにご案内します。 ※セミナーを収録したDVDも販売します(16,500円/枚、税込、動画配信サイトでご視聴いただくものと内容は同じです)。 DVD版は通信環境に関係なく、また視聴期間の制限もございませんので、再生機器があればいつでも、どこでも、繰り返し講義をご視聴いただけます。なお、動画配信サイト版とあわせてお申込みいただくと、DVD版を11,000円/枚(税込)でお求めいただけます。 ※ 賃金管理研究所HPのセミナー情報ページも併せてご覧ください。 < 参加者特典 > ![]() 新刊「社員が成長するシンプルな給与制度のつくり方」を 参加者全員に1冊プレゼントします! 【パンフレット&お申込み】 お申し込みは こちら から ↓↓↓ ![]() 詳細なパンフレットは こちら から ↓↓↓ ![]() ![]() 賃金管理研究所のFacebookページはこちらから 宜しかったら「いいね!」を押してくださいね。 賃金管理研究所HPはこちら ⇒ https://www.chingin.jp スポンサーサイト
定期昇給を実施しない会社に明るい未来はあるでしょうか?
7月下旬、東京商工リサーチより公表された、2020年度「賃上げに関するアンケート」調査によれば、今年賃上げを実施した企業は57.5%と前年度を23.4ポイントも下回り、定期的な調査が始まった2016年度以降最大の下げ幅となったということでした。 実に4割以上の企業が賃上げ(主に定期昇給)をしなかったという事実からは、それだけ多くの経営者にとってコロナ禍が切迫した問題であることを窺い知ることができます。 しかし、年に1度の給与改定(定期昇給)という約束事を守れない状況の下で、次代を担う社員たちは果たしてついてきてくれるのでしょうか? 前回は賞与の払い方を取り上げました。賞与の本質は「利益の分配」であることから、極端な業績不振時には大幅な減額もあり得るものの、回復期の稼ぎ手である中核社員のモチベーションと生活に配慮して、出来れば基本給の1ヶ月分は支給すべきであるとのお話もいたしました。 とはいえ、いよいよ業績が悪化すれば不支給にもできるのが賞与です。 しかし、月例賃金に対する年1回の給与改定(賃上げ)まで、業績不振を理由に見送ってしまっても良いものでしょうか?それを考える前に、月例賃金と賞与の役割や性格を整理してみましょう。 月例賃金…労働条件の基本かつ社員の生活の糧であり、安定的な支給が望ましい。 賞 与…利益の分配と位置付けられ企業業績や社員の勤務成績によって変動する。 毎月支払われる月例賃金が給与規程に定められたルールに則って正しく運用されることは、安定した労使関係の基盤だといっても過言ではありません。その月例賃金は、さらに所定内賃金と所定外賃金(主に残業手当)に分けることができます。 所定内賃金…所定労働時間の労働に対する賃金で、毎月決まった額が支給される。 所定外賃金…時間外勤務手当や休日勤務手当など就労状況によって変動する。 所定内賃金を、さらに基本給と諸手当に分けて整理してみましょう。 基本給…所定時間の労働に対する基本となる賃金で、昇給ルールを定めて運用される。 諸手当…基本給に含めることのできない要素を補完するもので、支給条件により支給 額が変動(金額の増減のほか手当の改廃、支給停止もあり得る。)する。 この様に整理すると、環境変化によって最も影響を受けないのが基本給だということが判ります。それ故に、基本給について社員の習熟や成長、勤務成績や職制上の責任の変化等に応じて増額改定される仕組みを整備し、そのルールに沿って正しい運用を続けることが、社員の将来不安を払拭し、社員の実力を長期間にわたって引き出すことに繋がるのです。 もし、業績次第でいつ昇給が無くなってしまってもおかしくないという状況が続けば、優秀な社員ほど他社に活躍の場を見出そうとするでしょう。そうなれば、自社の回復期を支える人材が不足し、人件費が減った以上に生産性が低下するという状況に陥るかもしれません。それほど、基本給の増額改定を主な目的とする定期昇給は、社員の生活と会社への信頼に直結したものだということを忘れてはいけません。 会社が緊急事態に直面した場合の人件費削減の方法は別にあります。そのお話は次回改めていたしましょう。 ![]() 〔おしらせ〕中小企業経営者向け給与制度セミナー(動画配信型)を開催! 社員を大切にする会社が進んで採用する給与決定のしくみ 『3時間でわかる! 責任等級制賃金制度の勘所』 責任等級制賃金制度は、賃金管理研究所の創業者である弥富賢之が考案した「弥富式」賃金制度を基礎として構築され、全国の中小・中堅企業の成長を支えながら、それぞれの時代と共に日本の企業に合わせて進化し、今日に至っています。 10年、20年、30年…、と長い年月にわたってこの賃金制度と共に発展・成長を重ねてきた数多くの企業の存在が、責任等級制賃金制度の有用性を証明しています。たとえ将来が見通しにくい状況下でも、社員が安心して仕事に打ち込めるわかりやすい賃金制度を示さなければいけません。そして総額人件費を合理的にコントロールしつつも、質の高い仕事で成果をあげた社員に正しく報いる制度の運用なくして、企業の発展は望めないのです。 本セミナーでは、責任等級制賃金制度の全体像を理解していただけるよう、要点を絞ってお話します。どんなに経営環境が大きく変ろうとも、社員の給料を合理的に決定する仕組みの大切さは変わりません。ぜひ皆様の今後の経営管理にお役立てください。 ≪ 主なセミナーカリキュラム ≫ 1.〔現状分析〕 自社の給与制度の課題はどこにあるのか? ■今日の労働市場の変化を理解する ■オーナー経営者が陥りやすい間違い ■わが社の問題を洗い出す(問題の真因を探る)■社員のやる気の総和を最大化するために 2.〔責任等級制度〕 人事処遇は担当職務・役割・職責を基準に決める ■賃金決定の基本は担当職務ベースで ■等級区分の基準は「能力」から「役割責任」へ ■仕事と賃金のミスマッチを引き起こさないために 3.〔基本給〕 所定内労働に対する“基本となる賃金” ■基本給はシンプルこそが“基本” ■年功の弊害は排除し、年功の良さは活かす ■昇給、賞与、退職金と基本給の関係は? 4.〔定期昇給〕 定期“実力”昇給を正しく実施する ■仕事力の差を賃上げにどう反映するのがよいか ■昇給と社員のモチベーションの関係 ■等級格付、昇給評語と昇給額コントロールの仕組み 5.〔手当の基本〕 “必要なものに、適正な水準設定を”が基本原則 ■シンプルな手当体系 ~必要な手当、不要な手当 ■複雑な各種手当の整理の仕方 6.〔評価制度と賃金〕 納得性のある“人を育てる”評価の秘訣とは? ■仕事の“品質”を評価するにはどうするか? ■評価の基本=人事考課と成績評価の違い ■仕事力評価のための5つのポイント 【開催形式】 動画配信方式 (180分) ◆配信期間: 2020年 10月7日(水)10:00 ~ 11日(日) 23:59 【講師】 ◆賃金管理研究所 代表取締役所長 大槻幸雄 【参加費】 ◆動画配信 16,500円 ◆セミナー収録DVD販売 16,500円 ◆動画配信・DVDセット セット価格 27,500円 (すべて税込価格:テキスト代を含みます。) ※ご請求書を郵送いたします。受講料は銀行振込にてお支払いをお願いいたします。 ご入金確認後、動画配信サイトURLやパスワードをいただいたメールアドレス宛てにご案内します。 ※セミナーを収録したDVDも販売します(16,500円/枚、税込、動画配信サイトでご視聴いただくものと内容は同じです)。 DVD版は通信環境に関係なく、また視聴期間の制限もございませんので、再生機器があればいつでも、どこでも、繰り返し講義をご視聴いただけます。なお、動画配信サイト版とあわせてお申込みいただくと、DVD版を11,000円/枚(税込)でお求めいただけます。 ※ 賃金管理研究所HPのセミナー情報ページも併せてご覧ください。 < 参加者特典 > ![]() 新刊「社員が成長するシンプルな給与制度のつくり方」を 参加者全員に1冊プレゼントします! 【パンフレット&お申込み】 お申し込みは こちら から ↓↓↓ ![]() 詳細なパンフレットは こちら から ↓↓↓ ![]() ![]() 賃金管理研究所のFacebookページはこちらから 宜しかったら「いいね!」を押してくださいね。 賃金管理研究所HPはこちら ⇒ https://www.chingin.jp
1.嘱託再雇用時の仕事と給料の決め方
まず、継続再雇用制度の下、60歳定年到達者の再雇用時の処遇を決めるケースを考えてみましょう。 高年齢者雇用安定法で、65歳までの継続雇用が義務化されたときには、大企業を中心に満60歳定年到達時の60~70%程度に賃金を減額するケースが多く報告されました。 このような賃金の減額が受け入れられてきた背景として、基礎年金部分の支給開始が65歳に移行していく段階では、 1) 大企業を中心に平成10年前後より浸透してきた嘱託再雇用制度では、雇用期間が延長され生涯年収が増加することに加え、職制上の責任が大幅に減じることをもって、給与の減額も当然のことと考えられていたこと 2) 再雇用時の給料が減額されても、雇用継続給付金、在職老齢年金の受給も行われていたため、併給調整分を考慮しても相応の手取り額になったこと 3) 大企業では、ホワイトカラーを中心に賃金水準が高いこともあって、雇用継続給付金の支給率が最大となる「再雇用時の賃金が満60歳定年到達時の61%以下」となったとしても、年金受給額を大きく超える手取り額となること などもあって、いわゆる「6掛け」、「7掛け」という相場が形成されていったものと考えられます。(「6掛け」といっても、60歳到達時に軒並み60万円以上もらっている管理職ばかりの大手企業の場合、再雇用時の賃金は36万円以上になる計算です。) そして、中小企業でも、同様の基準(=減額率)が適用されるケースが多かったのです。 そもそも、雇用継続給付金制度の支給開始が、定年到達時賃金の75%を下回ってからであり、61%で支給率が最大となるのですから、「それだけ引き下げても良いだろう」と経営者が考えるのは無理もないことです。 しかしながら、大手企業と中小企業の賃金水準は大きく異なります。また、基礎年金の支給開始年齢は65歳、報酬比例部分が支給される方でも年額100万円に満たない方が多いことを考えれば、嘱託再雇用の場合でも社員が生活できるだけの給料を払っていくことが肝要なのです。 大手企業の組合員ベース賃金が310,000円に対して、中小企業の組合員ベース賃金は245,000円程(79%)です。もともと賃金ベースが低いということに加え、中小企業では責任の軽い別の仕事に移っていただくこともなかなかできません。継続再雇用となっても、それまでと同じ仕事(職務・責任レベルとも)を続けてもらうしかないのが実状です。 今までと同じ仕事で、同じ水準の成果を期待されていながら、給料は大幅に引き下げられたのでは、その社員のやる気はおろか生産性が低下するのは無理のないこと。 嘱託再雇用の対象となる社員とは、わが社で定年まで勤め上げた社員であり、「同じ釜の飯を食べた同志」でもあります。会社としては、そうした社員が年金を満額受給できるまで、働き甲斐のある仕事を与え、その働きに相応しい水準の給料を支払って、生活に不安を感じることのないように配慮すべきです。 そして、嘱託再雇用後であっても、生産性に見合った給料を支払っているのであれば、最高裁判例を持ち出すまでもなく、同一労働同一賃金の問題でもめることはないはずなのです。 2.再雇用社員の働き方の選択と給料 再雇用社員の中には、1日の労働時間の短縮を希望する方、週の労働日数を減らしたい方、これからは責任の伴わない定型業務でよいと考える方、そして今まで通りの責任を全うしたいと考える方など、おそれく色々な方がいるはずです。 できれば、様々なニーズに応えられるように、任せる仕事についても柔軟な対応をしていただくのがベターですが、それが困難な場合には、原則としてフルタイム勤務での従前どおりの仕事を任せることを基本とすれば良いでしょう。 全く同じ仕事を任せる場合の給与水準は、原則として60歳定年到達時の80%を基本とします。 担当業務の責任レベルを軽減する場合には、賃金管理研究所が推奨する“責任等級制度”のもとでは、例えば Ⅰ等級相当の仕事であれば ・・・時給1,000円 Ⅱ等級相当の仕事であれば ・・・時給1,200円 Ⅲ等級相当の仕事であれば ・・・時給1,500円 というように、等級別に基準を定めておくことをお勧めします。短時間勤務の場合も同様です。 一方、管理職としての仕事を引き続き任せるのであれば、現役世代の管理職の最低水準の基本給は確保すべきでしょう。労働基準法の管理監督者として扱うならば、管理職手当も支給しなければなりません。 ただし、住宅手当や家族手当のような仕事に直結しない生活関連手当については、支給対象から外しても構いません。これは、管理職に限らず、一般社員相当の仕事をお任せになる場合も同様です。 ![]() ◆◆9月開催の 経営者のための賃金実務講座(大阪・名古屋・東京の3会場で開催) ◆◆ 出版記念セミナー! 社員が成長する シンプルな給与制度のつくり方 生産年齢人口は、1995年のピークから今年までに、既に1000万人以上が減少しています。中小企業にとっては、新卒採用(大卒)の求人倍率は10倍! 人材採用・確保の難しさは一過性のものではなく、今後は更に厳しさが増すといえるでしょう。 今、わが国では、働き方の多様性や格差是正等を視野に入れた法改正や規制改革が広く進められており、大企業は既に人材獲得・確保のための様々な施策を矢継ぎ早に打ち出し、働きやすい環境をアピールしています。 中小企業がこれに対抗していくには、まず経営理念・人事理念につながる処遇体系、合理的で一本筋のとおった給与制度と評価体系を確立しておかなければなりません。最も重要な労働条件である「給与制度」を、社員ひとり一人に分かりやすく説明できないようでは、人材の確保、社員の定着・成長も、そして会社の成長・発展も望めないからです。 このセミナーは、給与と評価を中心に中小企業の人事管理の基本原則を理解し、自社の課題と給与制度づくりを考える一日集中講座です。わが社の問題を浮き彫りにして、社員の「やる気」を引き出す「給与」と「評価」制度整備への第一歩を踏み出してください。 1)〔現状分析〕わが社の課題はどこにあるのか? 2)〔責任等級制度〕人事処遇は担当職務・役割・職責を基準に決める 3)〔基本給の設計〕所定内労働に対する“基本となる賃金”を決める 4)〔昇給スキーム〕定期“実力”昇給なくして、社員の定着なし 5)〔諸手当の設定〕“必要なものに限定/適正な水準設定”が基本原則 6)〔成績評価制度〕納得性のある“人を育てる”評価の秘訣とは? 7)〔賞与の決め方〕やる気を引き出す“貢献度に応じた”賞与配分 < 参加者特典 > ![]() 新刊「社員が成長するシンプルな給与制度のつくり方」を 参加者全員に1冊プレゼントします! 【日時および会場】 ◆大 阪 開催 9月11日(火) ホテルマイステイズ新大阪コンファレンスセンター ◆名古屋 開催 9月12日(水) ウインクあいち ◆東 京 開催 9月21日(金) アルカディア市ヶ谷 時間は10:00 ~ 16:30となります。( 東京は9:45 ~ 16:15 ) 【講師】 ◆賃金管理研究所 副所長 大槻幸雄 【参加費】 ◆参加費 34,560円(税込:テキスト・資料・食事代を含みます) 【パンフレット&お申込み】 お申し込みは こちら から ↓↓↓ ![]() 詳細なパンフレットは こちら から ↓↓↓ ![]() ![]() 賃金管理研究所のFacebookページはこちらから 宜しかったら「いいね!」を押してくださいね。 賃金管理研究所HPはこちら ⇒ http://www.chingin.jp
前回お話したように、自社の給与制度上の課題を克服するには、まず賃金プロット図を作成してみて、自社の給与制度上の問題がどこにあるのかを確認することが大切です。
プロット図を作成した時、ぜひ確認していただきたい基本的なチェックポイントとして、次の5点を上げておきたいと思います。 1)右肩上がりの年功要素が強いのか、適度なバラツキがあるのか。 2)分布図上の最上部のラインを辿っている優秀社員の賃金水準は、 その仕事内容に見合った水準といえるか。 3)役職と賃金の関係はどうなっているか、一定の年齢で必ず昇格する 自動昇格になっていないか。 4)平均的な成績の非監督職(一般職)の水準はどのくらいか。 5)非監督職(一般職)の最上位クラスと管理職の間には適正な格差が あるか 前回取り上げたA社とB社の例を踏まえて、もう少し掘り下げてみてみましょう。 右肩上がりの年功要素が強いのか、適度なバラツキがあるのか 先に示したA社のように、年功賃金の傾向が強い会社もあれば、B社のように職位に応じたバラつきが大きな会社もあります。そのほか、職種や部門による格差が顕著な会社もあることでしょう。性別による差が大きくでそうな場合は、男女別にプロットしてその実態を確認しましょう。 分布図上の最上部のラインを辿っている優秀社員の賃金水準は、仕事内容に見合った水準だといえるか 分布の上部に位置する社員は、会社が期待をかけている優秀社員のはずです。他の社員の模範となり組織の牽引役として期待されている社員として、その給与支給額ははたして相応しいものでしょうか。まずは、金額ベースで確認してみましょう。 また、A評価(ここでは上位20%から25%にはいる社員)を連続して取れるような社員がいた場合、年齢とのバランスも考慮しながら、どのくらいの賃金水準が社長からみて適正な額なのか、制度上の上限額をどのあたりに設定するかも念頭に置いて確認をします。 役職と賃金の関係はどうなっているか、一定の年齢で必ず昇格する自動昇格になっていないか A社のように誰もが主任、係長、課長と順調に昇格していける仕組みの会社は意外と多いものです。小さな会社でこのような運用をしていると、会社全体の仕事のレベルは上がらないのに賃金レベルだけは上昇していくということになりかねません。年功色の強い会社は、昇格運用が甘い傾向にあります。 平均的な成績の非監督職(一般職)の水準はどのくらいか 春季労使交渉などで争点となるモデル賃金は「35歳、高校卒勤続17年、事務・技能職、家族構成は配偶者と子2人」とされるのが一般的です。 賃金統計と比較することを考えて、平均的な成績の社員が35歳(配偶者、子供2名)のときに受け取ることのできる所定内賃金のモデル支給額を算出し、実在社員のグラフの中での位置を確認しておきましょう。 非監督職(一般職)の最上位クラスと管理職の間に適正な格差があるか プロット図上では、一見、一般社員から課長・部長までがきれいにつながる賃金カーブを描いているように見えても、残業時間が多いと、時間外勤務手当(残業手当)の支給される係長と課長の間で賃金の手取額の逆転が起こることがあります。 管理職に昇格したとたん、「いままでより責任が重くなったのに、賃金の手取り額はかえって少なくなった」では、新任管理職のモチベーションは大きく低下するでしょう。残業の多い会社では、部下の残業手当込みの賃金とバランスが取れるように、管理職の所定内賃金を一段高く設定しなければなりませんが、はたしてそうなっているかを確認します。 以上のポイントについて、詳細な確認をしておくことが、賃金表の設計をスムーズに進めることにつながります。 ![]() ◆◆9月開催!経営者のための賃金実務講座(東京・名古屋・大阪の3会場)のご案内 ◆◆ 『シンプルで合理的な給与制度はこうつくる!』 景気回復を先取りするかのように採用市場はひっ迫してきており、地域によっては人材確保がさらに難しくなることが心配されます。2年続けての政労使をあげての賃上げコールの中、採用戦略の一環としての賃上げ(ベースアップ)に踏み出さざるを得ない中小企業も増えていますが、先行きが不透明な中での賃金戦略はどうあるべきでしょうか? 社員の採用・定着、モチベーションの維持・向上策としても、合理的な給与制度と評価制度は不可欠のものです。にもかかわらず、デフレ経済下で10年以上にわたって賃金制度・給与体系の課題が手付かずのままという会社が多いようです。 雇用環境、経営環境が大きく変化する中で、業績に応じた人件費コントロールを視野に入れつつも、我が社としての課題をあぶり出し、最優先で取り組まなければならないテーマとは何なのかを掴んでいただきたいと思います。賃金制度の見直し(改善・改革)をご検討されている皆様は、是非この機会をご活用ください。 【日時および会場】 ◆東 京 開催 9月10日(木) アルカディア市ヶ谷 ◆名古屋 開催 9月16日(水) ウインクあいち ◆大 阪 開催 9月17日(木) 新梅田研修センター 時間は10:00 ~ 16:30となります。( 東京は9:45 ~ 16:15 ) *各会場とも定員30名 【講師】 ◆賃金管理研究所 副所長 大槻幸雄 【参加費】 ◆特別価格 34,560円(税込:テキスト・資料・食事代を含みます) 【パンフレット&お申込み方法】 お申し込みはセミナーパンフレットのお申込欄に必要事項をご記入の上、FAXにてお申し込みください。 パンフレットは弊社HP〔トップページ: http://www.chingin.jp 〕よりダウンロードいただけます。 ![]() 賃金管理研究所のFacebookページはこちらから 宜しかったら「いいね!」を押してくださいね。 弊社所長:弥富拓海のブログもぜひご覧ください。 ⇒ 弥富拓海の「賃金正しい決め方と運用の実務」 賃金管理研究所HPはこちら ⇒ http://www.chingin.jp
このブログのタイトルにあるように、給与制度、給与体系上の課題がどこにあるのかを把握することは、なかなか難しいことかもしれません。しかし、現状を正しく理解すること、問題の真因がどこにあるのかを見極めることは、安定して長い期間にわたって運用できる給与制度へと整備していくために必要な作業です。
では具体的にどのような作業をしていけばよいでしょうか? 今いる社員の給与をグラフ上に表して(プロットして)、その全体的なバランスをみるというのが、最も問題点をあぶり出しやすい方法だといえるでしょう。グラフの横軸に年齢を、縦軸に給与額をとって散布図をつくるということです。ここでは「賃金プロット図」と呼ぶことにします。 エクセルなどで表作成機能を使えば簡単に作成できますので、今までに給与分布状況の分析をされたことがなければ、一度はやってみることをお勧めします。 このときの給与額には、基本的には 所定内賃金 (通勤手当を除く)を使います。ただし、固定的に支払われる残業手当、みなし時間外勤務手当などがある場合には、これも含めた 毎月決まって支払われる賃金 を使うこともあります。 賃金表(テーブル)が整備されている会社であれば、所定内賃金とはべつに基本給だけで賃金バランスを確認することも有効です。 それでは、実際に所定内賃金をグラフ上に展開してみた例を見てみましょう。 ![]() ![]() 会社によって、実にさまざまな賃金プロット図が出来上がります。 上の2例は、大きなバラつきやデコボコのない、比較的バランスが取れている会社です。 それでもA社は年齢が上がるにつれ、職位も給与も右肩上がりで増えていく、年功的色彩の強い会社であることが分かります。 一方、B社は多少年功的ではあっても、職位ごとの賃金バランスを意識した運用がされていることが分かります。ただ、注意深く見ると、課長と係長の所定内賃金には差がほとんどありません。 課長は管理職として残業手当の対象外、係長には残業手当を支給するとなると、残業実態によっては手取額の逆転が容易に起こりそうだということが分かります。 このように、賃金プロット図を作成したときには、いくつか確認していただきたいポイントがあります。では、どのようなポイントに着目して我が社の賃金分析をすればよいのか? 次回(7月下旬)は、そのお話をいたしましょう。 ![]() ◆◆ 今年も9月に「経営者のための賃金実務講座」(東京・名古屋・大阪の3会場)を開催します! ◆◆ タイトルは、 「強い組織づくりのために“必要不可欠”な仕組み 『合理的な賃金制度をどうつくるか』」 景気回復を先取りするかのように採用市場はひっ迫してきており、地域によっては人材確保がさらに難しくなることが心配されます。2年続けての政労使をあげての賃上げコールの中、採用戦略の一環としての賃上げ(ベースアップ)に踏み出さざるを得ない中小企業も増えていますが、先行きが不透明な中での賃金戦略はどうあるべきでしょうか? 社員の採用・定着はもちろんのこと、やる気を引き出しモチベーションを高く維持するためにも、合理的な給与制度と評価制度は欠かせないものです。にもかかわらず、デフレ経済下で10数年にわたって賃金制度・給与体系のメンテナンスをしてこなかった会社が多いのもまた事実です。 雇用環境、経営環境が大きく変化する中で、業績に応じた人件費コントロールを視野に入れつつも、我が社としての課題をあぶり出し、最優先で取り組まなければならないテーマとは何なのかを掴んでいただきたいと思います。賃金制度の見直し(改善・改革)をご検討されている皆様は、是非この機会をご活用ください。 【日時および会場】 ◆東 京 開催 9月10日(木) アルカディア市ヶ谷 ◆名古屋 開催 9月16日(水) ウインクあいち ◆大 阪 開催 9月17日(木) 新梅田研修センター 時間は10:00 ~ 16:30となります。( 東京は9:45 ~ 16:15 ) *各会場とも定員30名 【講師】 ◆賃金管理研究所 副所長 大槻幸雄 【参加費】 ◆特別価格 34,560円(税込:テキスト・資料・食事代を含みます) 【パンフレット&お申込み方法】 お申し込みはセミナーパンフレットのお申込欄に必要事項をご記入の上、FAXにてお申し込みください。 パンフレットは弊社HP〔トップページ: http://www.chingin.jp 〕よりダウンロードいただけます。 ![]() 賃金管理研究所のFacebookページはこちらから 宜しかったら「いいね!」を押してくださいね。 弊社所長:弥富拓海のブログもぜひご覧ください。 ⇒ 弥富拓海の「賃金正しい決め方と運用の実務」 賃金管理研究所HPはこちら ⇒ http://www.chingin.jp |
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