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給料や評価、人事マネジメントに関する話題を中心に、日頃のコンサルティング業務や出来事、ニュースなどの中から感じたことの中から、ちょっと役立つ情報を提供していきます。
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賃金管理研究所 大槻幸雄

Author:賃金管理研究所 大槻幸雄
    
 株式会社賃金管理研究所所長の大槻です。賃金人事コンサルタントとして日々の仕事を通じて感じたことを書いています。
 業務に関するお問い合わせは、賃金管理研究所(03-3953-6761)までお願いいたします。
 
 賃金管理研究所HP 
 http://www.chingin.jp

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春季労使交渉の妥結結果が報道されていますが、今年は大手企業がやや低調であったものの、中小企業や非正規労働者については堅調に推移しているようです。

 賃上げは、給与制度のルールに従って行なう「定期昇給」部分と、基本給の水準そのものを嵩上げする「ベースアップ」に分けて考えることができます。
 「デフレ脱却と経済の好循環を実現する」ために期待されているのが、賃金水準引上げに直結する「ベースアップ」の実施が、いかに広がりをみせるかということでした。、

 そもそも、企業の人事戦略としてベースアップ(以下、ベア)を捉えたとき、どのような時にベアを実施すべきなのでしょうか?ここでは、基本に立ち返って考えてみたいと思います。

 代表的な、ベア実施の理由として
 
  消費者物価の上昇
  企業業績の向上
  世間相場との比較
  採用・定着を視野に入れた戦略的な給与水準の引上げ
 
などが挙げられます。

 「デフレからの脱却と経済の好循環に実現」というテーマが取り上げられるとき、「賃上げによる消費の拡大がなければデフレからの脱却はできない」という趣旨の発言がマスコミ、エコノミスト等から聞かれました。
 ただし、これはあくまでも経済分析の観点から導かれるデフレ脱却のための条件であり、会社側の直接の賃上げ理由にはなりえないものです。

 高度成長期のベアは、消費者物価上昇による賃金の目減り分を是正するという、主たる目的が明確でしたが、安定成長期から低成長時代に移ってからは、横並びでベアをする理由はなくなったと考えて良いでしょう。
 少なくとも今年に関して言えば、消費者物価指数は前年比、総合0.3%(生鮮を除く総合0.0%)と上がっていないのであるから、ベアの主たる理由にはならないのです。

 そうすると個々の企業として考えるべきベアの条件は、「企業業績」か「世間相場との比較」か、或は「採用・定着を視野に入れた戦略的な引上げ」ということになります。

 2016年3月期は過去最高益を記録した会社が多いと指摘されていましたが、最高益を出したとされる大企業はすでに給与水準が高く、月例給与を直ちに引き上げる根拠にはなりません。もし、企業利益の合理的な配分をするということであれば、「賞与」で従業員に還元するのが筋というものでしょう。
 また、過去最高益といっても円安や原油安の影響が大きく、中国や新興国経済の下振れリスクが懸念される中では、ベースアップに直結しにくい環境下であったとも言えます。

 では、今年のベースアップの原動力は何かといえば、それは「採用・定着を視野に入れた戦略的な引上げ」ということであり、中小企業においては「世間相場との比較」から採用初任給の引上げや中堅社員の中だるみ解消の観点からのバランス是正が急務であったということでしょう。

 その真因は、人材不足の顕在化と新卒・中途ともに採用が難しくなっていることにあります。いま、急速なスピードで労働人口の減少が進行しており、これが“一般論”ではなく個別企業の“喫緊の課題”として実感されるようになってきているということでしょう。

 この点については、改めて取り上げたいと思います。

  

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【パンフレット&お申込み方法】
 お申し込みはセミナーパンフレットのお申込欄に必要事項をご記入の上、FAXにてお申し込みください。
 パンフレットは弊社HP〔トップページ: http://www.chingin.jp 〕よりダウンロードいただけます。


  

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2016/04/08 15:51 賃上げ TB(0) CM(0)
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