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最近、人事制度の運用に関するお客様からのご質問に多いのが、高年齢者の処遇に関するものです。
これまでは、継続雇用制度における賃金の決め方に関するものが多かったのですが、このところ役職定年制度に関する質問が増えています。その背景には、組織の世代交代がうまくいっていない、役職定年制を導入したもののうまく機能していないといった悩みが見え隠れしています。 今回は「役職定年制度」について考えてみましょう。 1.役職定年制度 その概要と目的 役職定年制度とは、その名のとおり部長や課長等の役職・職位に就いている社員について、一定の年齢に到達したことをもってその職を解くことをルール化したものです。 正社員(期間の定めのない労働契約)の定年年齢は、法律上は60歳以上とするものと定められていて、多くの企業では60歳定年制を敷いています。 役職定年では、定年到達年齢よりも3~5年程度早くそのポストから降りてもらうのが一般的で、実際には55歳を役職定年とする例が多いようです。 この制度は、当初、55歳定年から60歳定年に引き上げられるのに伴い、雇用延長にともなう人件費増加を抑えるのが主たる目的であったと考えられます。従来の定年である55歳で役職を解き、管理職手当を不支給とするなどして所定内賃金を引き下げるということですね。もちろん、ライン職位を次世代にバトンタッチするという目的も重要ですが、総額人件費コントロールへの関心が高かったもの事実といえるでしょう。 60歳定年制への完全移行期は、高度成長の終焉やバブル崩壊、団塊世代が50代後半に差しかかる時期にも重なり、組織のスリム化や役職者の若返りを狙って、中小企業にも広く浸透しました。 2.制度運用上のメリット及びデメリット 組織の新陳代謝を図るという点からは、年齢という外形基準によって、一律に職位の交代を行なえることは企業にとってやりやすい便利な方法でした。個人別に管理職としての適否を判断することは、会社側と当事者双方にストレスを与えるものですし、それが回避できるメリットは大きく、特に大企業においてより有効なものだったのです。 これに対し、人材数が乏しい中小企業では、年齢基準で一律にラインから降職させることには、やや無理がありました。役職定年に到達しても、後進が育っていない、代わりとなる人材がいないなどの理由から、引き続き従前の職務にあたる例も多くあり、役職定年自体がうやむやになるケースも見られました。 また「定年制」とする以上、「その年齢に到達するまで継続してその任にあたる」という運用になりやすく、管理職としての適性が備わっていない者であっても、一たび管理職とされれば役職定年までは降職しにくいという側面もあったのです。これも負の側面と言えるでしょう。 3.運用上の留意点 役職定年制を導入する以上は、例外なく全ての従業員に適用するということが大原則です。大手企業においてはこのことは問題なく行われていましたが、中小企業では例外が数多く散見されたのは前述のとおりです。 「次の人材が育っていなければ、役職定年を超えて部長職を続けられる」という運用が罷り通れば、「部下を育て上げなければいつまでもその職位に留まることができる。」という悪しき前例を作ることになります。 役職定年制を導入するなら、一切の例外は認めてはいけないのです。 4.役職定年制の是非 ~まとめ~ 人事制度の基盤が、職能資格制度に置かれている場合には、役職定年制の導入は組織活性化の面からは有効な手段です。特に、大企業が短期間に組織のスリム化を図る手段としては使いやすい制度だともいえるでしょう。 ただ、責任等級制度や役割グレード制など、担当職務の役割、職責に基軸が置かれている人事制度を導入する企業が増えていますから、そうした職制基準の等級制度の下での(管理職をも含めた)等級格付けの見直しは、通常の人事権行使の範囲で行なえます。つまり、敢えて役職定年制を導入しなくとも良いわけです。 特に中小企業では、役職定年制による一律の対応は、かえって組織の維持や活性化の面からは阻害要因となりやすいので、お勧めできません。 そもそも中小企業では、たとえ役職を降りたとしても配置換えを行なう余地はなく、同じ部署でこれまでと同様の仕事をするケースがほとんどです。そうであるならば、実力ある社員には完全にリタイアする日まで、責任ある仕事をバリバリやってもらうべきです。 年齢という外形基準で、その責任や権限を奪い、給料を減らしているにもかかわらず、生き生きと働いてほしいと願うこと自体が矛盾をはらんでいるのではないでしょうか? これは、定年後、継続雇用制度のもとでの嘱託再雇用とする場合の、給与決定の際にも言えることですが・・・。 ![]() ◆◆9月開催の 経営者のための賃金実務講座(東京・名古屋・大阪の3会場で開催) ◆◆ お申込み受付中! 会社をグッと強くする「賃金制度」と「人事評価」 労働人口減少の時代にあって、人材獲得競争は今後も厳しさを増すことでしょう。 しかし、経営環境がどう変化しようとも、社員は自分の給料がどのようにして決まっているのかを知りたいと思うのが常であり、その期待に応えることのできる合理的な賃金制度が整備されていなければ、優秀社員の定着は臨むべくもありません。 企業規模の大小にかかわらず、合理的な給与決定の仕組みを整備することは重要であり、その正しい運用がなされているかどうかが、人材の獲得・定着、育成の全てに影響を与えます。いま、合理的な賃金制度の確立が急務であることは数多くの経営者が実感されていることでしょう。 このセミナーでは、“賃金コンサルタントの草分け”である賃金管理研究所56年のノウハウを凝縮してお伝えします。「賃金」と「人事評価」の基本を習得したい企業経営者の皆様には、必見のセミナーです。 1) 役割責任等級を決める 2) シンプルな基本給の設計 3) 実力昇給の仕組み 4) 諸手当の整理法 5) 人を育てる評価5原則 6) 貢献度を反映した賞与配分 7) 能力主義を貫く人材登用 の7つのポイントに分けて基本体系を解説! 人材の採用・定着、育成が喫緊の課題の今、社員が将来に不安を感じることなく実力を発揮できる制度づくりを、さあ始めましょう。 自社の課題を正しく分析し、次の時代成長につなげていただくための“手掛かり”を、是非このセミナーで掴んでください。 皆様のご参加をお待ちしています。 (大槻幸雄) 【日時および会場】 ◆東 京 開催 9月14日(水) アルカディア市ヶ谷 ◆名古屋 開催 9月27日(火) ホテルマイステイズ新大阪コンファレンスセンター ◆大 阪 開催 9月28日(水) ウインクあいち 時間は10:00 ~ 16:30となります。( 東京は9:45 ~ 16:15 ) 【講師】 ◆賃金管理研究所 副所長 大槻幸雄 【参加費】 ◆参加費 34,560円(税込:テキスト・資料・食事代を含みます) 【パンフレット&お申込み】 お申し込みは こちら から ↓↓↓ ![]() 詳細なパンフレットは こちら から ↓↓↓ ![]() ![]() 賃金管理研究所のFacebookページはこちらから 宜しかったら「いいね!」を押してくださいね。 賃金管理研究所HPはこちら ⇒ http://www.chingin.jp スポンサーサイト
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